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美術は静かに無題さんに語りかける。#04 | Untitled Vol.5

広島市現代美術館

ゲンビの休館中キャラクター「無題」さんが遭遇したのは、日常でごくごく普通に用いられる日用品。彼らも実は作品の一部で・・・?

無題さん04-1

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田中功起《everything is everything》2005-2006年 
 田中は2006年の台北ビエンナーレに参加した際、現地で手に入れた様々な日用品を用いて、短い映像を8本制作しました。映像の中で、マットレスは階段の上から落とされ、プラスチックコップは握りつぶされ、開いた傘はベッドの上にそっと置かれるなど、身の回りのモノが本来の用途とは異なる方法で扱われています。次々と映し出されるこれらの様子は、軽快な場面転換も相まって、使い方の分からないモノを前にしたときの、頭で考える前にひとまず色々試してみる、という身体的な感覚を想起させるかもしれません。その過程で現れる日用品の姿は、慣習的な使い方からこぼれ落ちた、しかし「無数にありえたかもしれない(*)」モノの姿の一つと言えるでしょうか。タイトル《everything is everything》(「すべてがすべて」)は、すべてはそこに見えるそれ以外の何ものでもない、ということを巧みに逆照射し、私たちの思惑を超えた事物の現れがあることを示唆します。
 ところで、これらの日用品の多くはプラスチック等の既製品です。耐久性に乏しい素材が用いられた作品をいかにして未来に守り継いでいくのか、ということは、作品の保存・修復の観点から美術館が抱える喫緊の課題の一つでもあります。

*田中功起+三木あき子「無数にありえたかもしれない世界の可能性」、『KOKI TANAKA: Works1997‐2007』2007年、Akiko Nagasawa Publishing。

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コレクション展2012-Ⅲ「時をとらえる」での展示の様子
※実際に展示されている作品には、お手を触れないでください。


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