長期休館までの日々を共に楽しむ ゲンビ休館前イベント「また会う日まで」 | Untitled Vol.1
休館中限定ニュースレター「Untitled Vol.1」掲載記事をご紹介します。
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長期休館までの日々を共に楽しむ
ゲンビ休館前イベント「また会う日まで」
広島市現代美術館(ゲンビ)は2020年12月28日から改修工事に伴う長期休館に入った。再開の予定は2023年3月。2年3ヶ月に及ぶ長い休館となる。
1989年5月3日の開館以来支えていただいた多くの方に美術館のコレクションと建物を楽しんでいただくため、最後の1ヶ月は全館無料開放し、休館前イベント「また会う日まで」を開催した。しかし新型コロナウイルス感染症の急速な拡がりを受け12月12日から臨時休館となり、そのまま28日から長期休館に入った。予定していたワークショップやイベントは中止となったが、急遽オンラインで「おうちでクロージング」が開催された。ここで休館前の様々なイベントの様子をレポートする。
コレクションと建物に触れ、共に名残を惜しんだ11日間
「また会う日まで」では、来館者にゲンビの建物そのものを楽しみ、心に留めてもらおうと趣向を凝らした展示やイベントが行われた。一部展示室は、あえて展示物がない空の状態で開放。改修後は天井付近に上がったままになるB-1展示室の大きな照明(通称シャンデリア)は、目の高さまで降下して設置。遮光のため塞いでいたA-1展示室の窓は、陽光が差し込む建物本来の姿を再現。休館前だからできる建物の状態を作り出し、見ていただいた。そしてその特徴を写真に残してもらおうと「たてもの撮影」を開催。黒川紀章建築の特徴である円錐形の窓や和洋の要素を組み合わせたディテールなど、ゲンビならではの館内外の風景を多くの人がカメラに収めた。
「たてものフロッタージュ大作戦」は、親子の参加が多かった。普段であれば目を向けることがないであろう壁に手を触れ、床にしゃがみ込み、そこに刻まれた傷や模様を写し取り、31年分の痕跡が刻まれた建物を全身で感じる様子が見られた。
ゲンビファンを公言する人、小学生時代の美術鑑賞事業以来という人、中には休館を知って初めて足を運んだ人など、実にさまざまな方がイベントに参加し、ゲンビの建物とコレクションに別れを告げた。約2年間の長期休館は、街の人々にも大きな出来事なのだと、イベントを通じ改めて実感した。休館までの日々を多くの方と共有する喜び、この場所で再会する楽しみ。美術館に携わるスタッフにとっても、またとない貴重な経験を得た特別な11日間だった。
オンラインで開催された「おうちでクロージング」のレポート
長期休館前、最後の1日となった12月27日に行われたオンライン・イベント「おうちでクロージング」は、美術館スタッフ総出の手作り感溢れる配信となった。
当時の配信内容の一部はYouTubeでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/hiroshimamoca