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美術は静かに無題さんに語りかける。#01 | Untitled Vol.2

ゲンビの休館中キャラクター「無題」さんが、ムーアの広場にそびえるゲンビのシンボル的存在「アーチ」に遭遇!?「アーチ」とは一体何者なのか?

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ヘンリー・ムーア《アーチ》1963-69年(1985-86年鋳造)
ヘンリー・ムーアは人間の身体に大きな関心を寄せた作家でした。この《アーチ》についても、マケットに「トルソ(胴体)」とあることから、作家の身体への関心が現れた作品と言えるでしょう。真ん中がぽっかりと空いていることから、胴というよりむしろ骨や骨格といった、身体の内側の構造が剥き出しになっているようにも見えます。

この作品は、まず高さ約11cmのマケットから約2mの作品が制作され、その後1969年に約6mの大きな《アーチ》となりました。比治山公園のムーアの広場に設置されている《アーチ》は1985~86年に当時の西ドイツで鋳造され、広島に運ばれてきたものです。

マケットの小さな「トルソ」は頭上を渡る「アーチ」へと引き伸ばされ、観る者を誘い込むようです。アーチの中央に立つと、彫刻に包まれるような感覚とともに、ブロンズが持つ重量感が感じられます。見上げれば、作品の有機的な形態と背後の景色が響き合い、歩みを進めれば新たな形と風景とが立ち現れます。天候や時間、作品を見る視点などによって、絶えず新しい気づきが生まれる作品です。

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